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禁止語

 恐ろしい事実が判明して久しい。それについて今日はまとめてみよう。
 魔法としか言い様のない事象が存在していたのだ。魔女なんかが呪文を唱えて雨を降らしたり日照りを続けたりするあれだ。新しく出来た近所のお好み焼き屋を一瞬にしてたこ焼き屋に変えたり。
 有名な学者たちの発表では、言葉により魔法陣を構成しなんたらかんたら……学のない私には良く分からない。
 例えば「ほし」という言葉を発する。それは二次元なんちゃら空間とかいう場所に、一定時間「星」だとか「☆」という記号が刻み付けられるのだそうだ。それだけでは無害なのだがその空間に刻み付けられた文字の配列によってはとんでもない事が起こるのだという。ただちに危険性のある言葉は法律によって規制された。その一つに「天下」という言葉で、これはとても安定した言葉らしく、発せられてから数年間その空間に留まり、近い場所で生れた「天下」と融合しやがて大きな魔法陣を作り最後はやがて爆発するのだそうだ。もうことは切羽詰っていて、長年でたまりに溜まった「天下」はすでに爆発寸前らしい。
 だもんだから「天下り禁止法」や「天上天下唯我独尊」「天下一武道会」などなどの言葉は、全て使用禁止語として指定され、喋ったものはテロリストとして国際犯罪者として手配される。あ、いま私が書いてるこれはエッセイの中の文字だから大丈夫だよ。喋らなければいいのだ。

 そろ腹が減ったぞ、お好み焼きでも食べようかと思う。
「おばさーん、いか天下さい」


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