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合い席の人

「相席よろしいですか」
 と店員に言われて席についたら、なんと向かいに座っているのはメデューサだった。ワサワサとうごめくようにしているヘビの髪の毛と、さらに黒いサングラスがいっそう怖い。刺身定食の海鮮サラダを突付いているのが、すこしは怖さをなくしている……かもしれない。
 髪質が太いですねとかいったら、怒られるんだろうか。なんて考えてると
「蛇髪がお珍しいかしら?」
 あんまりジロジロ見すぎたからか、メデューサが言った。サングラスの黒に反射する蛍光灯の白が、ボクを睨む。とりあえず素直に謝ろうかともごついているうつに、先に彼女が言った。
「変にちょっかい出さなければ、別に噛みついたりはしませんよ。まあ美容室とかじゃ嫌われるんですけどね」
 ちょっと威圧感のある見た目とは裏腹に、気さくで喋り好きのようだ。そういえば、サングラスをしているのはファッションの為ではないのかもしれない。目を合わせると石になるとか。
「もしかしてそのサングラスって、あれですか」
「そうですね。あれです」
「なるほどー」
 女性と話すのが苦手なボクだが、珍しく会話になっているなきがした。あの見た目がいけないんだな。ヘビもさもさヘアーに黒サングラス。
「鏡を見ちゃったりしても、あれですか」
「あれですね。化粧とかするのが大変で。窓ガラスに映る自分の顔も駄目なんですよ。目があったとたん、カチンって」
「へーぇ」
「見てみます? すぐなおりますよ」
 ちょっと面白そうなので同意してみた。
 彼女がサングラスを外す。
 背中からドロップキックを受けたような衝撃を感じた。ボクは美人には弱いのでおもわず固まってしまった。
 まあ美人だけど、鏡を見て固まるような人だし、きっとナルシストなんだろうなぁ。


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